プレイヤーズ・インタビューVol.1~6時の公共に集う仲間たち~

6時の公共に集う公務員やビジネスマン、議員さんなどなど、様々な背景を持つ仲間たちの日常や考えていること、6時の公共との関わりから得ていることや苦労話など、素顔にじわじわと迫っていくインタビューシリーズです。

第1回目は、事務局として活動を支える勝田博昭さんと齋藤晃徳さんです。勝田さんと齋藤さんは共に日中は県庁で公務員、夕方から6時の公共事務局を担ってくれています。(インタビュー実施:2019年3月)

お二人が6時の公共に参加するようになったきっかけを教えてください

(勝田さん)
2017年10月、6時の公共の前身、公務員のネットワーク活動「チーム千葉県」のオフモード定例学習会最終回に、自分が通っていた北海道の大学院の教授が講師としていらっしゃることをSNSで知り、久しぶりにお会いしたいなと思って参加しました。学習会の最後で、この活動を任意活動からNPO法人化するというアナウンスがあり、その時は「へ~」くらいの感覚で話を聞いていました。

ちょうどその頃、私は地元で「30歳の成人式」というイベントを有志で企画していたのですが、職場の先輩が同期の仁平さん(6時の公共を立ち上げようと準備中だった)を紹介してくれて、企画に関していろいろアドバイスをくれました。そのあと、NPO立ち上げの際に声をかけてもらい、自分自身が考えるまちづくりへのイメージと、6時の公共のミッションが合わさってしっくり来たので、お手伝いさせてもらうことにしました。

(齋藤さん)
役所でのキャリア形成ついて考えたいと思っていたところ、職場の知り合いが仁平さんを紹介してくれました。いろいろ教えてくださる中で、チーム千葉県という任意活動もされていると聞き、オフモード定例学習会の最終回に参加したところ、自分ももっと関わりたいと思うようになったのがきっかけです。

6時の公共のおもしろさって、何でしょうか

(勝田さん)
自分自身が「公共」とか「地域づくり」に興味を持った原点を思い出させてくれる機会を常に与えてくれます。2018年6月の6時の公共第1回目「みんなの学習会」は自分がコーディネートする形で、大学時代の行政学の恩師を講師に招き、土地問題をテーマに新しい公共の担い手を考えるという学習会を運営することができました。学生の頃に考え、思い描いていたことと比べて、今、自分はどうなんだろうというのを振り返って、進んでいる方向はずれていないかという「ものさし」になっていると言えると思います。

(齋藤さん)
「人脈づくり」そして、「自分自身の可能性を広げられる」ということです。また、「いろんなことへの問題意識をあらためて認識させてくれる場」が6時の公共だと言えると思っています。他自治体の職員の方、民間の方、議員さん、そのような方々と深く知り合うことができる機会は実は他にあまりありません。

最近、Qナッツという新種の落花生にはまっていたのですが、6時の公共に参加する八街の議員さんから、学習会後の懇親会の場で、半立(はんだち)という銘柄について詳しく教えてもらい、人に差し上げたらとても喜ばれました。講師として経営者をお呼びした「恋する豚研究所」(千葉県香取市)にも後日ツーリングで行ってみましたが、そこでのしゃぶしゃぶが本当に美味しかったです。些細な話かもしれませんが、よく知らなかった千葉のことを6時の公共で出会った人を通して知ることが多くあります。

被災地派遣を考えるようになったときも、たまたま6時の公共のスタッフに経験者がいて、詳しく事情を聞くことができ、大いに参考になりました。生の、実体験からの情報はアフター6の場面だけでなく、ひょんなところで日中の仕事においても知識として役に立ったり、広い意味で自分自身の成長につながる機会を与えてくれます。

公務員で働きながら6時の公共で活動する上ではどのような時間的な工夫をしていますか

(勝田さん)
今年は日中の公務員としての仕事もとても繁忙を極めていたのですが、事務局ミーティングは月1回程度ですし、日頃はITツールを使って遠隔で他のメンバーとコミュニケーションを取っていますので、無理なく活動することができています。

(齋藤さん)
私は会計担当として日々の帳簿管理、スタッフの経費精算をしていますが、細切れ時間を活用して作業を進めています。朝ちょっと早く起きて処理するとか、そういう工夫もしていますね。

6時の公共に関心を持ってくださっている皆さんに伝えたいメッセージはありますか

(齋藤さん)
「勉強したい」と思った方は、市民の方、行政の方を問わず、ぜひ学習会へ足を運んでいただきたいです。たとえば、行政の方であれば、職場ですぐに希望どおりの異動は叶わないかもしれないけれど、今から何かしら準備しておく、アンテナを広く張っておくには良い場になると思います。動画サービスもありますので、全国の公務員やまちづくりに関心のある方に利用していただきたいですし、都合がつけば実際に学習会にも来ていただきたいです。

(勝田さん)
「公務員あるある」ではないですが、公務員の中でも、市民の中でも、「なんだかこれはおかしいな」というような疑問点ってあると思います。そんなあるあるを、単なる飲み会での愚痴とか、日中の業務上のクレームだとかではなくて、課題の背景も含めて一緒に考えて共通認識をつくっていくような場を皆さんと作っていきたいです。そういう共通認識が課題の突破口になっていくのではないかと思います。

活動において大変だったことやおもしろかったことは

(齋藤さん)
6時の公共は12月末で決算を迎えるのですが、2018年末の初年度決算がたいへんでした。これまで任意の活動では単式で都度処理していたので、そのままやり方を当初踏襲してやっていましたが、会員制度もいろいろあったり、現金やり取り以外にクレジット決済や銀行振込など、法人会計として処理が複雑化しましたので、会計の専門知識がなかったら到底難しかったと思います。年末年始もだいぶ時間を使いました(苦笑)。ただ、苦労の反面、会計知識をNPO法人会計に生かすことができ、組織に貢献することもでき、とても良い経験になりました。これからは初年度の生みの苦労を土台に、会計処理もルール化、フォーマット化ができましたので、決算時期が来ても慌てないで処理できるかなと思います。

(勝田さん)
NPO法人としての事務作業には地味にやることが多く、そこは予想以上に大変だったという印象です。全国に公務員など様々な学習会活動がありますが、もしもNPO法人化したいということがあったら、メリットデメリット、ノウハウをお伝えできるんじゃないかなと思います。

思い出深いのは、2018年4月末に登壇した「ニコニコ超会議」でのステージ発表です。様子はニコニコ動画で生放送もされました。ニコニコ動画は見てる方でしたが、まさか自分がステージに立つ方になるとは思ってもいなかったので(笑)。あの時は、前日に法人誕生記念イベントもあり、ほぼぶっつけ本番でした。何が恐いかって、ステージ司会者のくとのさん(ニコニコ学会β交流協会)からのゲリラな質問への即答が難儀だったことです。
そういう新しいことにチャレンジできるのが、スリリングであり、おもしろいです。

日中は地方公務員のお二人。どうしてそのような職業を選択したのか教えてもらえますか?

(勝田さん)
大学1年生のとき、夕張市の破綻というニュースを聞いて衝撃を受けました。公務員は安泰だ、役所はつぶれない、なんていうことをよく聞く中で、まちが破綻するってどういうことだろう、どうやって立て直すのか、と考えたとき、地方自治はどうなっているのかということに関心が湧いてきました。
大学2年のとき、大学院で公共政策を研究する先輩の堂々としたプレゼンを見て、自分もそんな人になりたいと思い、北海道の院に進みました。学部では法学部でしたが、法律を使うにしても、まちづくりや社会にどう生かしていけるのかを考えたいと思いました。

公務員試験は国や市町村などさまざまあるなかで、第一希望の県庁だけを受験。まちをつくるためのお金を扱う銀行、地域の魅力発信に貢献できる広告業界も関心はありましたが、自分たちの責任でまちをつくっていく、その責任を大きく背負ってできるのが公務員かなと考え、最終的には公務員を選びました。
物事を客観的にいろんな視点から見るのが得意だね、と言われます。それってホント?というように意識して見ていますね。「Warm heart, cool head」が大事だという英国の経済学者の言葉を聞いたことがありますが、それは公務員の仕事にはしっくりくるフレーズだと思います。

(齋藤さん)
私はもともと公務員志望ではなく、学生時代に勉強したものが仕事に直結するものがよいと思い、会計の専門職を目指していました。ただ、東日本大震災や様々な世の中の事象が景気や環境変化に影響しているのを感じ、次第に、世の中をいろんな側面から支える仕事をしたいと思うようになりました。

公務員は不祥事だとかで叩かれることもありますが、ふと、用があって役所で住民票を取ったときに、その時の窓口の方にとても丁寧に接していただいた経験があります。目の前の市民の方に丁寧に接していく公務員という仕事に好印象を持ちました。テレビでも被災地で活躍する公務員の姿などを拝見し、大学卒業後もしばらく会計専門職の勉強を続けていましたが、このようなきっかけから公務員試験の勉強を始め、2013年4月に千葉県内の市役所に入庁しました。

3年間で福祉や税務の仕事を経験しました。手帳の受付や各種手当の支給、監査で老人ホームを回るなど、市民と接する機会も多く、いろんな形で人口減少を目の当たりにし、さらに広い視点から地域課題をとらえた仕事がしたいと思うようになりました。細切れ時間を使って勉強して試験勉強し、2016年に県庁に採用されました。職場が市から県に変わり、さらにいろんな人たちと出会いを楽しみながら働いています。

これから、公務員としてはどのような働き方をしていきたいですか

(勝田さん)
県と市町村の間に立って、県と市町村をつなげるような仕事をしたいです。県と市町村、対等だとか言いつつも、本当に対等で良い協力関係ができているかというと、そうでもないのかなと思うことがあります。県と市、それぞれ役割があるはずだから、それぞれの役割を意識して、強みを生かして働けるような県と市の関係をつくるような働き方がしたいです。
(齋藤さん)
市から県に移った身として、現場の市町村の方が仕事しやすいようにサポートしたいという思いがあります。県に尋ねたりしたとき、丁寧に教えていただいた方もいました。自分もそのように働いていきたいですね。2019年4月から東北に被災地派遣となりましたが、被災地行政、地域の方々の一助になるべく、できることはなんでもやりますというスタンスでいきたいです。

これからも、6時の公共を表裏で支える二人の活躍に期待したいと思います。

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