■レポート:みんなの学習会「ブームから紐解く!自治体職員の自主研究活動の歴史と進化」

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今回のみんなの学習会は「ブームから紐解く!自治体職員の自主研究活動の歴史と進化」をテーマに行いました。会場には千葉や埼玉、東京など各地で学習会を主催している方も多く集まり、さながら「関東自主研サミットの前夜祭」といった風情になりました。

小関さん講演の様子

従前は自治労や日教組など、自治体職員の職務外活動は労働組合を中心に行われており、さらには政治色の濃い勉強会も行われていました。このため、革新系の政治学者であった松下圭一氏が自治体職員による自主研究活動を主導する際には、松下の政治色が自治体職員にマイナスの影響を与えない配慮として、活動に独自の秘匿性を持たせていました。

ドルショックによる就職内定取り消しが続出して以降、国の画一的な政策に対応できない福祉や公害に独自の政策で対応する革新自治体の姿を見た大学生は、これまで主に高卒の就職先であった自治体に就職するようになり、こうして自治体職員の高学歴化が進みます。その結果、政策研究を行いたい若手職員と、それを「まだ早い」と諌める上司の学歴の差から活動の場が庁舎の外に移ります。これが1980年代に全国に自主研究ブームが広がった背景でした。こうして自治体職員による職務外の研究活動が発展し、その流れは自治体の政策を研究する学会の設立につながっていきます。

また、2000年代には第2次の自主研究ブームが発生します。それぞれ、第1次は団塊の世代、第2次は団塊ジュニアの世代を中心に展開され、両者の関連は薄いものの、調査の結果、一部の組織では世代を超えたイズムの継承が見られています。自治体には相互参照などの特有の文化がありますが、自主研究グループ活動は、職員がプライベートの時間を使って行う相互参照と自身のスキルアップの場を見ることができるでしょう。

最後に、当法人について、自主研活動の法人化はあまり例がなく、今後の世代の参考になるものではないか、といった論評もいただきました。

自主研活動について、講師によってはじめてつまびらかにされた歴史を詳しく知ることができました。
私たちも、その一端を担う新たな存在として、自治体職員のみならず、広く市民にも開かれた活動を展開する意義をかみしめていきたいと思えた夜となりました。

【参加者からの声(抜粋)】
・自主研究の役割やブームの特徴がわかりました。
・自主研の歴史、職員の関わり方など大変系統的な話でわかりやすかったです。
・自主研の歴史と分類(系統)が体系的に理解できました。
・行政と政治の何とも言えない関係性
・現在、オンラインで全国の自治体職員とつながり、相互参照できるのは、過去の自主研の成果が活きていることを理解しました。
・普段活動に関わっていない人にもわかりやすく具体的に、自主研とは?という部分の説明があると入りやすいと思いました。
・相手と自分の違いを理解したり、共通点を見つけたりするスキルが、これからの自治体職員にも求められると思います。
・自主研を継続していく難しさに直面しています。
・自主研の進化(公務員+α)の先生の研究を見てみたい。

(今回の学習会の様子は、⭐オンラインコミュニティ(講義動画の有料アーカイブ配信)にて、11月下旬に配信予定です。参加方法については、「6時の公共」ホームページをご覧ください。)

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